マルメ 講義2018 第05回(5/19)

おはようございます。

最新TV-CMを紹介します。

最近は、放映後に何らかのクレームで放映中止になる場合があります。

昨年と今年で放映後中止になったTV−CMを2本ご紹介します。

三ツ矢サイダーTV-CM

日清カップヌードル「OBAKA’s UNIVERSITY」

矢口真里 新垣隆 ビートたけし 小林幸子 ムツゴロウらが出演

そして、本日の本論です。

前回は

What is The Movie ?
映像とは◯◯である

What do The Movie have ?
映像には◯◯がある

そこで映像がどんなものでどんな性質があるのかを話しました。

映像が視覚とどう違うのか、映像の概念と特性とはなんだろうか、演劇のもつ空間や時間の流れとどう違うのかの話をしました。

映像には何らかの意思や意図が含まれており、

本日はもう少し

その映像の本質に少し迫ってみたいと思います。

映像をタテ軸とヨコ軸に分けてそれぞれの特性を話しをしていきたいと思います。

映像のタテ軸とは、
映像を画面として捉えることです。
その画面の持つ特性の話です。

映像のヨコ軸とは、
映像を時間軸として捉えることです。

What do The Movie have ?
映像には◯◯がある


『映像のタテ軸』

画面比、解像度、ピクセル比
がお分かりいただけたてしょうか?

最後にIMAXに関する映像を紹介して本日は終わりたいと思います。

Interstellar in 6 Different Screening Formats! Which to See?

IMAXと通常の映画との違いを『インターステラ』を通じて解説しています。

では、
『ダークナイト』の冒頭IMAXシーンをお目にかけたいと思います。
途中でスクリーンの上下サイズが小さくなるところまでが70mmIMAXFilmカメラで撮影されています。

『ダークナイトライジング』ではIMAXカメラが破損する事故もありました。

HUBBLE3D Trailer

そして

来週あるイベントのお知らせから

NHK技研公開2017 2020年へ、その先へ、広がる放送技術

What do The Movie have ?
映像には◯◯がある


『映像のヨコ軸』 

 

映像のヨコ軸の話です。

みなさんは、映画やテレビと呼ばれる映像が静止画の集まりだということを知っていますか?

fpsについて

では映画は1秒間に何枚の画像を見ているのでしょうか?

映画は?

映画は1895年にリュミエール兄弟やエジソンが初めてフランス、ニューヨークで上映しました。

フランスのリュミエール兄弟が映画の上映を初めて行った(1895年)

エドワード・マイブリッジが撮影した連続写真の馬のギャロップは世界で初めて

映画は初期の頃は16から20fpxでしたが、現在は24fpsです。

TVは?

TVは30fpsです。

fps      Frames per second

fpsというのは、1秒間に撮影または再生する映像のフレームのことです。

 

映像はフレームと言う静止画の連続です。

 

一秒あたりのフレーム数をフレームレートと言い、そのフレームレートをfpsという単位で表します。

ではそのfpsの違いが映像として見たときにどのような違いになるのでしょうか?

まずは再生のfpsを変えて見てみましょう。

6fps

12fps

16fps

20fps

24fps

30fps

60fps

6-12-24-30-60fpsを通しで

120fps

240fps

皆さんはどのfpsが動きを感じる最低だと思いましたか?

映画とテレビではfpsが違う!

その時に動きを再現するためにどのくらいのfpsが適しているのか考えられてきました。

当時は16〜20fps程度だったと言われています。現在は24fpsで撮影再生上映されています。古い映画の一場面やチャップリンやキートンの映画を見たことがあると思います。その時に感じるのは人間の動きが少し早くギクシャクしていると感じたと思います。あれは当時のフレームレートと現在のフレームレートが違うので当時の撮影のfpsに対して再生のfpsが高いので早い動きに見えるということです。

チャップリンの無声映画

現行のテレビは30fpsです。

それに対してモニターディスプレーの描画精度はもっと高くなってきており、パソコンのグラフィックボードの性能も向上しているので60fps、120fpsを実現しています。

さて、では撮影と再生時のfpsの違いからどんな映像を創り出すことが出来るのか見ていきましょう。

ハイスピード  時間を引き伸す

タイムラプス  時間を縮小する

タイムスライス 時間を切り取る

 

ハイスピード
撮影fps > 再生fps
撮影時のフレームレートが再生時より多い場合、時間を引き延ばすことが出来ます
これはハイスピード、スローモーション撮影と呼ばれるものです。

現在のデジタルカメラは撮影センサーの感度が向上してスマホでも240fpsでの撮影が可能になっています。つまり、映画であれば10倍スロー、テレビでも8倍スローが可能なります。


10,000fps!? – The Slow Mo Guys

Adam Magyar “Stainless -Alexanderplatz-”

Adam Magyar – Stainless, Alexanderplatz (excerpt), 2011 from Adam Magyar on Vimeo.

Adam Magyar “Stainless -Shinjuku-”

Adam Magyar, Stainless – Shinjuku (excerpt) from Adam Magyar on Vimeo.

TV-CM イオントップバリュー”ピースフィット”
www.nicovideo.jp/watch/sm23684248

タイムラプス

撮影fps < 再生fps
撮影時のフレームレートが再生時よりも少ない場合、時間を早回しした効果を出すことが出来ます
タイムラプス、微速度撮影、間欠などとも呼ばれます。

TOKYO 2013 4K time lapse

fukushima miharu takizakura 福島県三春町滝桜

ハイパーラプスと呼ばれる新しい撮影方法やスマホアプリも出てきて手軽に移動しながらタイムラプスが撮影出来るようになってきています。

Yokohama Hyperlapse 4K / 横浜 ハイパーラプス JAPAN

Dubai Flow Motion in 4K – A Rob Whitworth Film

タイムスライス

タイムスライス=時間を切り取る
タイムスライスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。その名の通り”時間を切り取る”という意味で使われており、時間を極端に静止させる、あるいは超スローモーションの世界を作り出す意味で使われています。タイムスライスは海外では「バレットタイム」(Bullet Time 弾丸)とも言われています。

時間を極限まで切り取る ハイスピードよりももっと細かく撮影するために
一眼レフカメラ大量に並べて同時(?)に撮影します

映画「マトリックス」(1999)の時には120台のスチルカメラで別アングルから撮影、間をCGでモーフィング補完しています。そして後で背景をCGで作成、実写の動きにマッチングさせる手法を取っています。

1999年に公開された『マトリックス』(1999)

そのメイキング映像です。
VFXスーパーバイザー、ジョン・ゲイターはこの作品でアカデミー視覚効果賞を取りました。

タイムスライスの歴史は古く、1980年代ティム・マクミランという映像作家が実験映像としてリング状の鉄のレールにフィルムを装着して同時にシャッターが切れる装置を開発したのが始まりとされています。その原理は非常に単純ですが、複数の多視点からの写真を撮影しなければならず、装置としての設計は難しいものとされました。時は流れ、デジタルの時代になってようやくデジタルカメラの電子制御が可能になりました。

ティム・マクミランの実験映像 1980-1994

『ソードフィッシュ』冒頭近くの銀行強盗が人質に爆弾を仕掛けて逃げるところ爆弾が破裂する

ユニクロTV-CM “POLONOW”
POLONOW タイムスライスを用いたTV-CM

リコーのデジカメのTV-CMです。
タイムスライスであそぼ! with CX5

それ以外にもfpsを意識することで
マネキンチャレンジなどの新しい映像表現方法が発明されています。
ただし、マネキンチャレンジはfpsを駆使するわけではなく、本当にフリーズして撮影しています。
ドラマ『嫌われる勇気』(2017) オープニングタイトル

ドラマ『突然ですが、明日結婚します』

まとめ

映像というのは視覚を切り出してタテ軸=『空間』ヨコ軸=『時間』を駆使しながら、新たな解釈を盛り込めるようにしたものである。

しかし、近年はVRの技術も入り、今までの映像の考え方、捉え方では済まなくなってきている。

VR映画の出現やデジタルサイネージがまさにそれです。